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老後資金はいくら準備できていると安心なのか?

老後資金が2000万円不足すると言われ始めてからすでに2年以上の月日が流れましたが、この2000万円という数字はあくまでも一般的なサラリーマン家庭における数字で、医師家庭のそれとは大きな差があります。

老後資金の準備を考えるに当たり、押さえておいていただきたい3つのポイントをフリーランスの医師であるS先生の事例を基に解説しましょう。

S先生
現在フリーランスで、退職金がなく、厚生年金等の加入期間も短いため、将来のための備えをする必要性を感じています。
貯金はある程度できていると思っているのですが、それで足りるのか不安です。
S様プロフィール
55歳
整形外科医(フリーランス)
年収:約2500万円
金融資産:約8000万円
奥様(52歳、専業主婦)
長男(25歳、医師)

吉田
退職金がなく、年金もあまり期待できないS先生の場合、たとえ1億円の貯金があったとしても、60代でお仕事を辞めてしまうと、長生きした場合に老後資金が不足する可能性が高いと考えられます。
その理由をご説明しましょう。

収入と支出の差に着目しよう!

老後資金を準備するにあたり、多くの方がいくら貯金をしておけば良いのか?といったストックに着目しがちですが、それ以上にフロー(収入と支出のバランス)を意識する必要があります。

先ほど、1億円の貯金があったとしてもS先生が60代でお仕事を辞めてしまうと、長生きした場合に老後資金が不足する可能性が高いとお伝えしたのは、その収入と支出の差が非常に大きいためです。

詳しく見ていきましょう。

S家の場合、税金や社会保険料を差し引いた年収(手取り)は1500~1600万円。それに対して、毎月100万円以上の支出がある状態が長らく続いていました。(お子様が自立されたことや、60歳で一部保険料の支払いがなくなることを加味すると月75万円程度に減る予定)

それに対して、もしS先生が65歳でリタイアされた場合に期待できる収入は、夫婦で月15万円程度の公的年金のみ。

つまり月60万円ものマイナスが生じる計算です。

月60万円ものマイナスが続けば、たとえ1億円の貯金があったとしても、14年弱で底を尽きてしまいます。

65歳男性の平均余命は約20年、62歳女性の平均余命は約27年ですので、特に奥様の平均余命を考慮すると全く足りない可能性が高いと考えられるのです。

S家のように医師家庭は、現役時の収入が多い分、支出も多くなっている傾向にあります。そして、特に個人開業医やフリーランスの方などは一般のサラリーマン家庭よりも受け取れる公的年金が少ないケースも多くあるため、このリタイア後の収入と支出の差が非常に大きくなっていることがよくあるのです。

この差が大きいと気付いたら、行うべきは、現役時代から支出を減らしておくこと、リタイア後の収入を増やすことの何れかもしくは両方です。

ストレスなく支出を減らす方法

生活レベルを上げるのは簡単ですが、下げるのは非常に困難だと言われています。

そのため、S様にも生活レベルをほとんど変えなくても行える支出削減の方法を提案しました。

まず見直しを提案したのは、保険料と税金の2つの項目。

S先生が支払われていた保険料は年間約180万円、税金も所得税と住民税を合わせて約900万円と非常に大きな割合を占めていたため、削れる部分が多くありました。

結果的に保険料が年間約30万円(奥様のご希望で60歳払い済みの終身保険と養老保険を残しました。5年後にはほぼ保険料の支払いがゼロになる予定です。)、税金は年間約730万円まで下がり、可処分所得が大きく改善しました。

リタイア後の不労収入をつくる方法

まずは、公的制度を全く活用できていなかったため、確定拠出年金(月6.8万円:2人分)とつみたてNISA(年40万円:2人分)をスタート。

そして、支出を削減する際に、保険を大きく削ったこともあり、万が一の際の保障の増強と、老後の資産収入を目的として区分不動産を3部屋購入されました。

あえて80歳までのフルローンを組んで、万が一の際には団体信用生命保険の効果で残債がなくなり、家賃収入をご家族が受け取れるようにされました。

25年間とローンの返済期間が短い分、月々の収支は3部屋分で約5万円の赤字ですが、大きく減った保険料の代わりと納得されています。

65歳のリタイア時に繰り上げ返済を予定し、月約19万円の家賃収入を得られる見込みです。

まとめ

今回の見直しを行ったことで、リタイア希望の65歳時には、約1.1億円の金融資産(ストック)と公的年金に加えて月34万円の不労収入(フロー)が得られる見込みとなり、65歳以降のマイナス収支も、月40万円程度に減ったため、お二人の平均寿命までの生活費は確保できる目途が立ちました。

100歳まで生きても大丈夫なようにしていきたいというS様のご希望もあるため、今後はマイクロ法人の設立も視野に見直しを行っていく予定です。

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