今からできる相続対策~相続税評価額を圧縮する4つの方法~

S先生
親からの相続で苦労したので、子にはできるだけ負担をかけたくないと思っているのですが、今から準備しておけることはないでしょうか?

吉田
まずは、ご自身の相続対象となる資産の把握から始めましょう。
そのために、ご自身名義の資産を書き出してみてください。(預貯金のみではなく、死亡保険金の出る保険一覧、お持ちの不動産や有価証券など、全ての資産を書き出していきます)
そして、その規模に応じてどの程度の対策が必要かを見極めます。
S様プロフィール

51歳
眼科勤務医
配偶者(専業主婦)
お子様(16歳、12歳)

相続財産の規模別!相続対策としてまずすべきことは!?

相続財産の合計が1億円未満の場合

相続資産には基礎控除(3000万円+600万円×法定相続人の人数)があるため、この範囲内に収まる方であれば、生前贈与や生命保険など、比較的リスクの低い手法を用いるだけで、相続税がほとんどかからない状態にすることも可能です。
ただし、相続資産ボリュームと相続で揉めるか否かは別問題です。相続人となる配偶者やご子息が揉めることのないよう、誰にどの資産を遺すのかを公平に判断し、万が一認知症などにより、その意思をご自身の口で伝えることができなくなってしまった場合でも大丈夫なように対策を進めましょう。

相続財産の合計が1億円~3億円程度の場合

配偶者が相続する遺産は、原則1.6億円若しくは配偶者の法定相続分までの高い方までは非課税ですので、この場合は一次相続以上に二次相続対策に備える必要があります。
二次相続とは、資産を相続した配偶者が亡くなった場合に発生する相続のことです。
二次相続では、この配偶者控除が使えないため、たとえ一次相続で納めるべき相続税がゼロであったとしても、この二次相続で多額の相続税が発生するケースもよくあります。
この範囲にいらっしゃる方は、一次相続だけではなく二次相続までを加味して相続対策を行うようにしましょう。

相続財産が3億円超の場合

この場合は、多額の相続税の支払いが必要になる可能性がありますので、まずは、その支払いに充てられる資金があるかを確認しましょう。
もし、お持ちの資産の大部分が不動産のように即時現金化が難しいものであれば、生命保険等を活用して納税資金を準備しておかれることをお勧めします。特に、地価の高い都心部にご自宅をお持ちの方は想像以上に相続税評価額が高額になっている場合もありますので、注意が必要です。

相続税評価額を圧縮する4つの方法

①生前贈与

相続税精算課税制度という2500万円までの贈与にかかる贈与税が無税になる制度もありますが、S様の場合は、暦年贈与を2人のお子様の学資の目処が付き次第始められることをお勧めします。
暦年贈与は受贈者1人につき年間110万円までの贈与には課税されないため、二人のお子様に110万円ずつ贈与すると、贈与税を支払うことなく、相続財産を220万円減らすことができます。
しかし、毎年同じ時期に同じ額の贈与を行うと定期贈与とみなされ、そのトータルの額に課税される場合もありますので、毎年タイミングや金額を変えて、時には少額の贈与税を支払いつつ、行うのが良いでしょう。
また、死亡前3年以内に相続人に対して行った贈与に関しては、相続財産に加算され、相続税が課されますので、受贈者(S様)の生活に影響のない範囲内で、早めの対策を打たれることをお勧めします。

②生命保険の活用

生命保険には、500万円×法定相続人の人数の非課税枠が存在します。
S様の場合は500万円×3人で1,500万円です。
死亡保険金は、遺産分割協議が済んでいなかったとしても、受取人だけで手続きができ、万が一相続放棄をした場合でも受け取ることが可能です。更に遺留分の対象にもならないため、もし他の相続人より多くの資産を渡したい人がいるのであれば、その人を受取人として生命保険に加入するのも有効です。

③不動産の活用

相続財産が1億円以上になる方であれば、財産の全てを現金で持っていた場合と一部を不動産など相続税評価額が低くなる財産で持っていた場合とでは、課税される相続税に大きな差が生まれる場合があります。
例えば、小規模宅地の特例の適用を受けることのできる不動産をお持ちの場合は、最大で80%もの評価減となりますので、大きく相続税評価額を圧縮することが可能です。

④一般法人の活用

非常に大きな資産をお持ちの方や、特定の相続人に資産の大部分を譲りたいとお考えの方は、一般法人(株式会社や合同会社)の活用も視野に入れられると良いかもしれません。
特に株式会社であれば、その株式を生前贈与するという手法が有効です。まだその法人に資産が貯まっていない状態であれば、評価額も小さくなるため、短期間で大きく相続財産を圧縮できた事例もあります。
さらに、医療法人とは違い、医師又は歯科医師免許がなくても代表となることが可能ですので、お子様が医療の道に進まない可能性が高い開業医の方からも支持されている手法です

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