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【節税】勤務医が節税を考えるべき順番と注意点

『勤務医のままでは節税は難しい』
『節税したいなら開業するか会社を作るかの2択』

とお考えの勤務医の方も少なくないようですが、勤務医の方でも節税に取り組むことは可能で、私が担当した方の中には開業も法人化もせずに100万円以上の節税に成功された勤務医の方は大勢いらっしゃいます。

株式会社を設立することによって年間500万円近い節税に成功されたフリーランスのドクターもいらっしゃいますが、残念ながら、同じ手法を使ってもこれほどの効果を得られる方は多くありませんし、私の感覚値ですが、このスキームを使って効果を得やすい人は勤務医の方の中で5~10%もいないのではと思います。

誰でも効果のある方法ではないのですが、『会社を作ると節税になるらしい』という噂が独り歩きし、私の元にも会社を作って節税したいという勤務医の方からのご相談が数多く届いています。

結論からお伝えすると、会社を作らなくても、勤務医のままでもできる節税方法は複数あります。
今回は税金を安くしたいとお考えの勤務医の方に、開業や会社設立を検討する前に行っていただきたい節税の3STEPとそれを行うにあたって押さえておいていただきたいポイントについて詳しくお伝えしましょう。

STEP1 公的な制度を網羅しよう

節税を始めるにあたってまず取り組んでいただきたいのが公的な制度をすべて行えているかの確認です。

例えば、iDeCoやふるさと納税などは誰でも行うことができますので、まずはご自身が取り組める公的制度をすべて行えているか確認しましょう。

また、医療費控除や配偶者控除、扶養控除、住宅ローン控除など控除できる要件を満たせている場合は、正しく控除を受けられているかの確認も必須です。

例えば、年収が配偶者控除を受けられる限度額(控除を受ける納税者ご本人の合計所得金額が900万円以下であれば満額控除可、1000万円超で控除なし)をわずかに超えてしまっていたり、お子様がアルバイトをし過ぎて扶養から外れてしまっていませんか?

限度額を大幅に超えているのであれば難しいですが、もしギリギリ超えてしまっている方は、少し調整を行った方が大幅に手取りが増える可能性は十分にあります。アルバイト日数を数日減らしただけで、手取りが増えるという不思議な現象が起こった方もいらっしゃいます。特に、配偶者控除の限度額付近(年収1100~1200万円程度)の方は非常にもったいない状態になっている可能性が考えられますので、是非一度確認してみてください。

年収1000万円程度までであれば、この公的制度を活用して節税に取り組むだけで十分な効果を得ることは難しくなく、あえて会社を作るなどリスクの高い手法を検討する必要はないというのが私の考えです。

まずはここの抜け漏れをゼロにすることが節税の第一歩です。

STEP2 所得を分散させよう

現在の日本は超過累進課税制度のもと課税されているため、所得を分けることができるとそれだけで節税になります。

所得を分けるというと、会社を作って配偶者に給料を出すという方法を連想される方が多くいらっしゃいますが、極論をいうと分ける対象となる家族がいなくても、所得を分けることは可能です。

例えば、事業所得など所得の種類を分ける方法が1つ(STEP3で解説します)と今と未来の自分で分ける方法があります。

今と未来で所得を分けるというのを言い換えると、今受け取っている収入の一部を年金収入や退職金収入に変えるということです。

STEP1でもご紹介した確定拠出年金を使って積み立てる方法や、ご勤務先の協力を得て、報酬の一部を給料という形で受け取らずに、お勤め先のクリニックで退職金として積み立てもらって、うまく所得を分散させている方もいらっしゃいます。

また、お給料という形ではなく、セミナー参加費や書籍代など医療技術向上に関わる費用をご勤務先の経費として認めてもらうことで、給料から出ていくものを減らして、結果的に手残りを多くすることに成功されている方もいらっしゃいます。セミナー参加費や書籍代を立て替え払いしていた金額を受け取っても、給料として受け取るのとは違って、その金額に対して税金はかかりませんので、結果的に税金は安くなるのです。例えば、STEP1でギリギリ限度額を超えていた方で、定期的に自腹でセミナーに通っている方などは、そのセミナーの参加費を病院で払ってもらうことができれば、その分だけ給与が減ったとしても、税金が減って手残りが増える可能性は十分に考えられます。

ご勤務先の協力が必要になるものが多いため、お勤め先が大きな病院であれば難しいかもしれませんが、個人開業医や小規模の医療法人であれば、融通を利かせてもらえる場合もあるとお聞きしていますので、一度院長先生に聞いてみる価値はあるのではないでしょうか。

STEP3 事業所得を得よう

医師・歯科医師の方々が副業をすると税金や社会保険料が増えてしまうことが多いのは、他院でのアルバイトなど副業も給与所得である場合が多いためです。

もちろんそのような働き方の方が収入効率が高いため、それらをすべてやめて何らかの事業を行いましょうと申し上げるつもりはありませんが、その一部の時間を活用して何らかの事業を始めたり、余力がある方であればプライベートな時間を少し使ってご自身の事業を運営されることをおすすめします。

医師・歯科医師の方と親和性の高い事業には、執筆業・講演業・リース業などがあります。

事業を行うことによって、その事業所得を得るために必要なものを経費で落とすことが可能になったり、ご勤務の状況によっては小規模企業共済や倒産防止共済等の加入資格を得られる場合もあります。

経費枠を得るために、必ずしも医院を開業しなければならなかったり、会社を作らなければならなかったりすることはありません。事業所得が多くない場合は開業届を1枚提出し、確定申告を行えば十分目的を果たせます。その際には青色申告に挑戦すると65万円の青色申告特別控除の適用を受けることができます。そのためには事前の届け出が必要となりますので、開業届と一緒に税務署に提出するようにしましょう。

ちなみに、青色申告と聞くと難しそうなイメージがあるかもしれませんが、最近はfreeeやマネーフォワードなど税金の知識がほとんどなくても簡単に使えるクラウド会計ソフトなども出ているため年間1万円程度で税理士に頼むことなく青色申告を行うことができます。

私もfreeeを使って青色申告をしていますが、使い方は非常に簡単です。

最後の選択肢=医院開業or法人設立

皆様がかなり早い段階で検討される医院開業や法人設立ですが、この選択肢は今までご紹介してきたもの以上にリスクが高い方法になるため、これまでご紹介した3つのステップをすべて行ってもなお税金が高いという場合にこの方法をおすすめしています。

大事なことなので何度も言いますが、節税を考える上で医院開業や会社を作るのは最後の選択肢です。

節税にチャレンジされる場合には、是非より小さなリスクで行えるものから順番に実践してみてください。

 

※今回のお話はあくまで節税が主目的なのであればという前提の話で、医院や会社をつくってやりたいこと(節税以外の目的)が存在するのであれば別の話です。

節税以外の目的で会社設立を検討された方の事例はこちらからご覧ください。

節税以外に勤務医が法人をつくるメリットはあるのか!?

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