美容皮膚科勤務医(非常勤、厚生年金未加入、企業型DCなし)
年収:2,200万円
家族:奥様(32歳専業主婦)、お子様1人(3歳)
メリット①所得税・住民税の負担軽減につながる
確定拠出年金に拠出すると、その掛け金全額が所得控除となり、所得税の節税効果があります。
ご年収が2,200万円で、所得税率40%、住民税10%の範囲内にいらっしゃるため、限度額の68,000円を毎月拠出すると、年間40万8,000円の税負担の軽減につながります。
(厚生年金加入者ではなく、ご勤務先に企業型確定拠出年金制度のないA先生の場合、確定拠出年金の拠出限度額は月額68,000円です。)
ご勤務医の状態で、導入可能な節税方法には限りがありますので、税金が高いと感じられているのであれば、拠出するメリットは十分にあると思われます。
メリット②運用益は非課税
一般的な投資信託の運用益には20%課税されますが、確定拠出年金の運用益は非課税であるため、より効率的に資金を積み立てることが可能です。長期的に積み立てることで、リスクを軽減し、安定的な資産形成につながります。
メリット③受け取り時にも節税効果がある
A様は非常勤でいらっしゃるため、基本的に退職金はないとお伺いしていますので、退職金目的で確定拠出年金に加入されることをお勧めします。退職金として受け取る場合には、退職所得控除、年金として受け取る場合には公的年金等控除の対象となります。
メリット④資産分散効果
A先生の場合、株式投資や投資信託等はされていないと伺っていますので、確定拠出年金の中で投資信託を積み立てることにより、よりバランスがとれ、インフレに強いポートフォリオがつくれるでしょう。
デメリット①60歳まで引き出せない
確定拠出年金に拠出した掛け金は60歳まで引き出すことができません。つまり、もし急にまとまった資金が必要となった場合も、確定拠出年金で積み立てた資金を活用することはできません。
もし、現状急な支出に対応できるだけの預貯金がない場合は、加入を見送られるか、若しくは、掛け金を少額にされておくことをお勧めします。
デメリット②60歳まで解約もできない
万が一、掛け金を拠出することが難しくなった場合や、所得がゼロになった場合でも、確定拠出年金は60歳まで解約することはできません。掛け金の拠出を一旦ストップすることは可能ですが、その間も100円前後と少額ではあるものの手数料はかかり続けます。
デメリット③運用に失敗するリスクがある
運用益には課税されないというメリットがある反面、運用に失敗すると資金が減ってしまう可能性もありますので、どうしてもそのリスクを取りたくないという場合は、元本保証の定期預金に入れておくという選択肢もあります。
まとめ
A先生の場合、今まで全く税金対策をされていなかったため、昨年は所得税と住民税併せて500万円以上納税されていました。高所得者は配偶者控除の対象から外れるなど、増税の対象となっていますので、必要な資金を手元に残すためには、何らかの税金対策は必須と考えられます。
退職金も期待できず、老後資金の積立もほとんどされていないとのことでしたので、確定拠出年金に加入することで、低リスクで節税ができ、老後の資金も積み立てられるようになりますので、もし私がA先生の立場であれば、上限額の68,000円ずつ毎月積み立てると思います。
しかし、1点懸念点があるとすれば、まだA先生は30代とお若く、お子様も小さいため、60歳以降の生活のために今の生活が犠牲にならないよう、お子様の教育資金等の準備に差し支えのない範囲で掛け金を設定されることをお勧めします。