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MS法人のメリット・デメリット~上手な活用法と注意点~

MS法人を活用した節税スキームが流行ってから10年以上の月日が経ちましたが、今もなお『MS法人って結局どうなの?どう使ったらいいの?』といったお問い合わせが絶えません。

今回はMS法人を作ろうか迷われていた、歯科医のY先生の事例を基に、MS法人のメリット・デメリットと活用方法についてお伝えしましょう!

Y先生
友人から節税できるからとMS法人を勧められたのですが、正直何のための法人なのか、どのように活用すれば良いのかよくわかりません。
MS法人のメリット・デメリットやMS法人を作るなら知っておくべきことがあれば教えてください。
Y様プロフィール
56歳
歯科医師(個人開業医)
開業18年目
売上8000万円
奥様(55歳・事業専従者)
お子様(28歳・25歳 二人とも会社員)

吉田
Y様のご状況をお伺いしていると、確かにMS法人を検討する価値はありそうですね。
MS法人について詳しくご説明しましょう!

MS法人とは?

MS法人を簡単に説明すると、医療以外のことを行う、医院と取引のある普通の営利法人です。
一般的に株式会社や合同会社(昔であれば有限会社も)が使われることが多く、普通の会社と大きな違いはありません。
MS法人を使った節税スキームが流行った当時のMS法人は、いわゆるトンネル会社でした。
医院の代わりに医療機器や材料などを仕入れる
→そこに数十%の利益を乗せて、医院に販売する
→医院に残るはずだった利益の一部がMS法人に残る
→所得分散の効果で節税できる
…そんな仕組みです。
MS法人が儲かる=医院が損をするという利益相反関係にあったことから医療法人の役員など医院の経営者と、MS法人の役員になることは好ましくないとされ、MS法人の代表者は奥様など親族の方が勤められているケースがほとんどでした。
ただし、この中抜きして節税する手法は税務署が目を光らせていることもあり、今それを目的としてMS法人を作るのはお勧めできません。

MS法人の上手な活用方法

MS法人を上手に活用されている方は、節税以外の目的をMS法人に持たせてMS法人を運営されています。
先ほども言ったように、MS法人と言っても普通の会社ですので、何をやっている会社か?何のための会社か?を明確にしてからスタートさせられるかが、成功への第一歩となるのです。
Y先生の場合は、節税に加えて、お2人のお子様への相続対策を目的とし、医療機器や歯科材料の仕入れ、医院の不動産の管理、医院の経理・採用業務の代行などを行うMS会社を作られました。

MS法人のメリット・デメリット

MS法人を作るにあたって知っておきたいメリット・デメリットを見ていきましょう。

メリット①所得分散による節税効果

Y先生がMS法人に、医院の業務の一部(仕入れ・不動産管理・経理・採用など)を任せることで、MS法人が利益を埋める状態を作られたように、一部業務を外注することで、残る利益を分散させることができれば、結果的に所得税(法人税)の節税につながります。

メリット②相続対策に活用できる。

医療法人の場合、医師もしくは歯科医師の免許をお持ちでないと後継者となることはできませんが、MS法人であれば、そのような要件はありません。
また、株式会社であれば、その株式を生前贈与しておくことで、相続財産を減らすことも可能です。
事業継承がネックで医療法人化を諦めていた方は、検討されてみる価値はあるのではないでしょうか。

メリット③法人保険を活用して退職金を準備できる

法人保険の節税効果は低くなったと言われていますが、退職金の積み増しができるのはMS法人を作る大きなメリットの1つと考えられます。
個人事業主の状態では、小規模企業共済やiDeCoなど使える制度に限界がありますし、MS法人の役員となった人(Y
様の場合は2人のお子様)の退職金も準備することが可能になるという点も非常に魅力的です。
Y様もお子様への役員報酬は月3万円ずつと少額に設定し、残りは退職金として受け取れるようにMS法人内で運用されています。

デメリット①節税効果は限定的

MS法人で医療行為を行うことはできないため、MS法人に任せられる業務には限りがあります。そのため、役員報酬設定を調整することである程度自由に所得を分けられる医療法人化と比べて、所得分散による節税効果は限定的です。

MS法人を運用する上で知っておきたい注意点

大切なことなので繰り返しになりますが、昔流行ったMS法人を使った節税スキームは利益の中抜きを行ういわゆるトンネル会社でした。しかし、今はそのスキームは使えないため、トンネル会社とみなされないように、MS法人にどのような役割を担わせるのかが重要です。
MS法人は何のための会社なのか聞かれた際に、自信をもって答えられるようにしておきましょう。

まとめ

MS法人は昔流行った節税スキームという印象をお持ちの方もいらっしゃるかと思いますが、使い方次第では、今でも十分活用する価値があるものです。
特に、Y先生のように、後継者がいないため、売り上げは高いけれど医療法人化を諦めていた方などは検討されてみてはいかがでしょうか。

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