不動産を使って相続税対策をする意味はなくなってしまったのか!?

N先生
路線価に基づく相続税の計算が否認されたというニュースを見ました。
今後、相続税対策として現預金を不動産に変えておいてもメリットはないのでしょうか?
また、現在持っている不動産も、折を見て現金化しておくべきなのでしょうか?
N様プロフィール
58歳
麻酔科勤務医
法定相続人(1人:23歳長男)
保有資産(現預金約8,000万円、一棟マンション2棟、区分マンション5部屋、死亡保険金5,000万円他)

吉田
確かに、「路線価に基づく相続財産の評価は不適切」「3億円の追徴課税処分」といった言葉が世間を賑わせていましたが、一概に相続税の課税対象となる不動産すべてにおいて、路線価に基づいて相続税の計算をすることが認められなくなったわけではありません。
そのように考えられる理由は以下の通りです。

短期間で過度な相続税対策を行っていたことがそもそもの原因

今回話題となった事例は、相続の起こる約4年前に相続税対策として孫を養子にし、その翌年に2棟の不動産を購入し、相続が発生し遺産分割協議が整って半年も経たない頃にその不動産の売却を行っています。さらに、銀行からの借入れを理由に相続税はゼロとして申告しています。
そもそも、相続税対策を目的として、亡くなる直前に行った養子縁組は否認される場合がありますし、タワーマンション節税が流行った頃にも、相続した不動産をすぐ売ったことで、時価に基づいた相続税を課せられたといったニュースが話題になっていました。
今回の事例は、このように、短期間に大胆な相続税対策を行い、かつ以前から避けたほうが良いといわれていた相続後間もない売却も行い、更に相続税をゼロとして申告しているなど、明らかにやりすぎと思われる点が多々あります。正直、見せしめという意味合いもあったのではと思いますが、国税のメスが入ってしかるべき案件だったように思われます。
N様の場合は、投資用不動産を購入されてから既に15年以上が経過している物件が多いため、過度な相続税対策として路線価に基づく相続税の計算が否認される可能性は低いでしょう。

不動産として持ち続けるべきか?現金化すべきか?

結論から申し上げると、今回のニュースを受けて、N様が急いで売却を検討される理由はないかと思われます。
N様の場合、法定相続人はお子様お一人のみですので、相続税の基礎控除は3,600万円のみです。その枠は、現在お持ちの現預金のみでも大幅に超えるため、相続税が安くなる不動産として持っておく意味は十分にあります。
ただし、N様の場合、お持ちの不動産によって、相続税の課税対象額が圧縮できたとしても、おそらく1億円近い相続税が課せられる見込みです。息子様が、相続後すぐにお持ちの不動産を売却しなくても良いように、事前にしっかり話をされておくとともに、相続税がきちんと支払えるだけの現預金(もしくは死亡保険金)を用意しておかれることをお勧めします。

まとめ

現時点の資産状況を見ると、不動産を売却するなど対策を急ぐ必要は無さそうですが、もし年月が経ち、預貯金等の割合が少なくなってきた際には、売却等も視野に入れ、見直しを行いましょう。できる限り早い段階から、唯一の相続人である息子様と相続についてお話をされておかれることをお勧めします。

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