勤務医と開業医~金銭的に有利なのはどっち!?~

H先生
勤務医のままでは収入を上げるにも限界があるため、開業を考えているのですが、勤務医と開業医とでは、金銭的な面でどのような違いがあるのでしょうか。
H様プロフィール
34歳
歯科医師
年収600万円
奥様(専業主婦)
お子様(5歳、3歳)

吉田
勤務医と開業医では、金銭面において大きく3つの差があります。具体例をご説明しましょう。

収入面での違い

H様もおっしゃるように、歯科医師の方の場合、開業するのが既定路線で、勤務医の状態でご年収が1000万円を超えられている方は多くないという印象があります。
平成29年に実施された第21回医療経済実態調査でも歯科診療所の勤務医の平均年収は約621万円、院長の場合は平均で約1186万円という結果が出ていました。この結果を見ると、開業することで大幅に収入が増えるようにも思えますが、実際には、医院の経営状態の良し悪しで大きな差が生まれ、収入が勤務医時代の数倍になったという方もいらっしゃれば、残念ながら勤務医の頃の方が手残りしていたと言われる方もいらっしゃいます。
更に、ご開業される場合は、ほとんどの方が数千万単位のお借入れをされています。設備投資にかかった費用に関しては各設備の耐用年数に応じて償却していくことになりますが、その経費として計上できる金額と、返済する金額は一致せず、事業ローンの返済のため、借入れのなかった勤務医時代より収支が悪くなったと感じられる方もいらっしゃるようです。

税金面の違い

H様の場合も確定申告をしたことがないと伺っておりますが、歯科で勤務医をされている方の場合、H様のように給与から税金や社会保険料が天引きされたものを受け取られていて、確定申告をせず、年末調整のみで済まされている方が多くいらっしゃいます。
このような場合には、税金は予め引かれているものという認識が強くなり、コントロールできるものだという認識が薄くなりがちですが、ご開業されると、いかに上手に経費計上をするかで、課税される金額が変わり、可処分所得にも大きな差が生まれるようになります。開業医(個人事業主)になると、税金がかかる前に、売上から、その売上をあげるために必要となった諸経費を差し引き、その残った金額に対して所得税・住民税が課税されるためです。例えば、勤務医の頃であればご自身の給与の中から負担されていた、セミナー代や書籍費、パソコン等の少額設備や接待交際費の一部などを、医院の経費として支出することができるようになります。さらに、専業主婦であった奥様や、リタイアされていた親御様などに医院の受付や経理を手伝ってもらうことにより、専従者給与を支払って、所得を分散し、税金をコントロールされている方も多くいらっしゃいます。
また、利益が多く残るようであれば、医療法人化といった新たな選択肢が生まれるなど、勤務医の状態であれば限りがあった節税手段が増えてくるでしょう。同程度の売上の方であっても、手残りしている額に大きな差があるため、どのように経費を出し、税金をコントロールするかも、自由に使えるお金を増やすためには重要なポイントとなるのです。

保障面の違い

ご開業されると当たり前のことですが、雇われる側から雇う側に変わるため、ご自身が病気や怪我で働けなくなると医院の運営が立ち行かなくなるリスクがあり、万が一、医院を一定期間休まなければなった場合でも、スタッフの給与や医院の家賃等固定費の支出は発生し続けます。勤務医の状態であれば、休職中も手当てが出ることがありますが、開業医の場合は自身で備えなければなりません。そのため、収入の額面は多いけれど、休業補償の費用等をその中から負担しなければならなくなるため、結果的に自由に使える金額が少なくなったと感じていらっしゃる方も多いようです。

まとめ

開業することで、年収は額面が数倍になる可能性はありますが、その分スタッフに対する責任や、ローンの支払い、保険料等の負担が増えますので、額面だけを見て一概にどちらの方が良いということはできません。
ご開業される際には、負担が増える以上にメリットを享受できるよう、予め資金を回収する目処(売上を上げるための戦略)を立てた上で、そこから逆算して設備投資計画を立てるようにしましょう。

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