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節税以外に勤務医が法人をつくるメリットはあるのか!?

N先生
節税以外に私のような勤務医が法人を作るメリットはあるのでしょうか?
N様プロフィール
50歳
皮膚科医(個人クリニック勤務)
年収2500万円
奥様(会社員)
お子様(15歳、12歳、10歳)

吉田
N様が法人を作るメリットは大きく3つあると考えられます。

N様は、奥様が副業禁止の会社で働かれているため、所得分散が難しいこともあり、法人を設立しても節税効果は限定的だろうとお考えだったのですが、詳しくお話をお聞きすると、医業とは別に、お子様の1人が障害をお持ちだということもあり、障害を持つ人でも社会に出て、働くことができるよう支援する事業を行いたいという夢をお持ちだということを話してくださいました。そのように医業以外で実現したいことをお持ちの方にとっては、法人を作ることで可能性を広げられる場合もございます。
今回は、法人設立が持つ節税以外のメリットについてお話します。

信用を得られる

法人を作り、小規模であっても利益を出し続けられる法人に対しては、金融機関において好条件の融資を受けやすくなるなど、様々な形で信用が付加されます。
65歳頃を目処に、医師としての仕事に区切りを付けて、支援事業一本に注力できる状態を作りたいとのことでしたので、その時期までの15年間黒字を継続できている法人が手元にあれば、その実績がN様の夢を後押ししてくれるはずです。

経費の幅が広がる

例えば、社用車や社宅、生命保険など個人では認められなかった経費が法人を作ることでその一部もしくは全部が必要経費として認められやすくなります。
その中でも、N様にとって一番メリットが大きいと思われるのは退職金の積み立てが可能になることです。
N先生は現在個人クリニックに勤務され、退職金制度はないとのことでしたので、65歳で医師を辞められた後、別で事業をしたいとお考えのN先生の場合、ご自身で退職金を準備できれば、当面の生活費に頭を悩ませることなく、事業に専念できる状態に近付くでしょう。
退職金制度のない法人の給与所得者が自分で退職金を準備する方法として、確定拠出年金や養老保険などを活用する方法がありますが、法人を設立することで、その法人名義で加入する生命保険を活用して一部経費計上しながら退職金の原資を積み立てることが可能になります。退職金にかかる税金は、通常の所得にかかる税金よりも大幅に安くなりますので、現在の生活がギリギリだということでもなければ、ご収入の一部を活用して退職金準備をされることをお勧めします。

平等な支援が可能に

N様は今もし自身に万が一のことがあった場合に、ご家族の生活費に当てられるようにと、アパートを一棟お持ちだと伺っています。また、3人のお子様に対して平等に支援してあげたいとのお気持ちも伺っております。
ただし、アパートなどの実物資産は、平等に分割することが難しく、しばしば相続時等の揉め事に発展するケースもあります。この問題も、例えば、株式会社を設立し、お子様に対して平等に株式の贈与を行い、一旦法人にプールしたアパート経営の利益を役員報酬として分配するといった方法で解決されている方もいらっしゃいます。

まとめ

N様が当初お考えだったように、節税面だけを見ると、公的な制度は一通り取り組まれていて、アパート事業の方で最低限の経費等も出せているとのことでしたので、法人設立という選択肢を選ぶメリットは少ないと思われました。
しかし、明確に医業以外で実現したい事業をお持ちだったため、現在N様は再度法人活用を検討されています。
勤務医の方の中には、節税のために法人活用を検討されている方も多いかと思われますが、今回お伝えした節税以外のメリットも享受できそうかどうかといった視点も併せてご検討されることをお勧めします。

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